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2023.11.28

人を大切にする企業づくり

同一労働同一賃金への取り組みは進んでいますか?

2020年4月に改正施行された「パートタイム・有期雇用労働法」は、2021年4月から中小企業も含め全面施行されるようになりました。

この改正は、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を「選択できる」ようにする、ということを目的としています。

いわゆる「同一労働同一賃金」と呼ばれているもので、「働き方改革」の目玉のひとつでもあります。この同一労働同一賃金への取り組みは、非正規雇用労働者の雇用を促進するという人手不足解消にとっても欠かせない取り組みとなっています。

ここでは、「同一労働同一賃金」に対し、まだ取り組みが十分でない企業様、どのように取り組みを進めていけばよいのか悩まれている企業様のヒントになるようなことをお伝えできれば、という想いで書かせていただきたいと思います。

短時間労働者と有期雇用労働者の考え方

正規雇用労働者ではない、非正規雇用労働者、つまり短時間労働者と有期雇用労働者がいる場合に同一労働同一賃金を考えていく必要があります。

ここで、短時間労働者はパートタイム労働者のことであり、フルタイムの正社員と比べて、1週間当たりの所定労働時間が少しでも短い労働者のことをいいます。また、有期雇用労働者は事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者のことをいいます。

まずは待遇に違いがあるかを確認

正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の待遇に違いがあるかを確認します。この待遇の違いには基本給、賞与、各種手当などの賃金や福利厚生、教育訓練などのあらゆる待遇を含んでいます。

均衡待遇・均等待遇の考え方

正社員と短時間労働者・有期雇用労働者の待遇に違いがある場合に、その待遇の違いが、働き方や役割の違いに応じたものであるかどうかを均衡待遇の考え方に従って不合理な待遇差となっていないかを確認します。

均衡待遇とは

職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情、これら3つの違いに応じた範囲内で待遇を決定する必要がある、ということを意味しています。

均衡、つまりバランスの取れた待遇を考えていく必要があるということですね。


均等待遇とは

職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、この2つの内容が同じ場合には、待遇について同じ取り扱いをする必要がある、ということを意味しています。

均等、つまり差別のない平等な取り扱いを考えていく必要があるということですね。

労働者に説明できるかどうか

待遇の違いについて、労働者から説明を求められた場合に、待遇の違いの内容や不合理な待遇差ではない理由について説明できるようにしておかなければなりません。

まずは「同一労働同一賃金ガイドライン」を参考にして考えていくというのが分かりやすいように思います。(厚生労働省:「同一労働同一賃金ガイドライン」について

このガイドラインは、正社員と非正規雇用労働者との間で待遇差が存在する場合、どのような待遇差が不合理か、不合理でないかの原則となる考え方を示したものとなっています。それに加え、典型的な例として整理できるものについては、問題とならない例、問題となる例という形でいくつかの具体例を示しているものとなっています。

例えば、「通勤手当・出張旅費、労働時間の途中に食事のための休憩時間がある際の食事手当、同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当等について、同一の支給を行わなければならない」といったようなことが記載されています。

社内で検討していくにあたって参考になるものが記載されていますので、ぜひ一度はご確認いただくことをおすすめします。

それでは、ここからは実際に労働者から説明を求められた場合に、説明できるようにするための整理ポイントを3つご紹介させていただきたいと思います。

誰と比較するか

同一の事業主に雇用される正社員のうち、その職務内容、職務内容・配置の変更範囲等がパートタイム労働者・有期雇用労働者の職務内容、職務内容・配置の変更範囲等に最も近いと事業主が判断する者を比較対象とするのが一般的です。


どのようなことを説明するか

個々の待遇の性質・目的に照らして適切と認められるものに基づいて説明する必要があります。
待遇に関する基準が同じであれば、同じ基準のもとで違いが生じている理由を説明、待遇に関する基準が異なっているのであれば、基準に違いを設けている理由について具体的に整理していきます。


どのような方法で説明するか

説明を求めた労働者が理解できる、わかる説明をするために就業規則、賃金表等を活用します。これらの内容は企業において、どのように対応していけばよいかは個別に十分に検討していく必要がある部分となります。

まとめ

具体的に不合理な待遇差となっていないかどうかの判断は企業ごとに個別に確認していく必要があるものとなります。

この「同一労働同一賃金」において、同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、合理的な待遇差であることを求めるわけではなく、不合理な待遇差を設けることを禁止する、というものになっている点が個人的にはミソであるような気がしています。

 

少しでもご参考になっていましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございます。

 

参考資料:厚生労働省 「パートタイム・有期雇用労働法のあらまし」(令和5年6月版)

 

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