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2024.10.17

人を大切にする企業づくり

“企業への義務化が検討されている”カスタマーハラスメントとは

近年、社会問題となっているハラスメント。その中でも職場のパワーハラスメントについて、企業へ対策が義務付けられているのは皆さんご存知の通りですが、顧客等からの迷惑行為であるカスタマーハラスメントいわゆる「カスハラ」についても、厚生労働省において2025年には法改正案を提出する方向で企業への義務付けが検討されているのはご存知でしょうか?

特に宿泊業や飲食店等の接客業においては、従業員のパフォーマンスの低下や健康不良、離職等に繋がることも少なくなく、人手不足への深刻な影響を与えています。

今回は、そのカスタマーハラスメントについて、該当行為と対応を考えていきたいと思います。

はじめに

注目されるカスタマーハラスメント

以前、ハラスメントをご紹介させていただきましたが、この中でも特に最近注目されているのがカスタマーハラスメントです。

最近の大きな話題として、2024年10月4日に全国で初めて東京都で「カスハラ防止条例」が成立しました。

 

カスタマーハラスメントの企業への影響

企業への影響として、挙げられるものは具体的に以下のようなものが挙げられます。

  1. 時間の浪費…クレームへの現場での対応、電話対応、謝罪訪問、対応方法の検討、弁護士等の専門家への相談 等
  2. 業務上の支障…顧客対応に追われ他の業務が行えない 等
  3. 人員確保…従業員離職による採用・教育コスト 等
  4. 金銭的損失…商品やサービスの値下げ、慰謝料要求への対応費、代替品の提供 等
  5. ブランドイメージの低下…他の顧客の利用環境や雰囲気の悪化によるイメージの低下 等

さらには、カスハラを受けてしまった従業員は、パフォーマンスが低下し、心身の健康状態が悪化し、職場での対応に恐怖や苦痛を感じることも多く、配置転換が必要になったり、場合によっては休職や離職に繋がってしまうということも少なくありません。

そのようなことになってしまう前に、会社ができることを進めておくことは、会社の持続的な発展には不可欠です。

それでは、そもそもどのようなものをカスタマーハラスメントと呼ぶのでしょうか。

カスタマーハラスメントとは

定義

パワーハラスメントのように明確な定義はまだありませんが、以下のような行為がカスタマーハラスメントに該当すると考えられています。

 

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により労働者の就業環境が害されるもの

明るい職場応援団 「カスタマーハラスメントを知っていますか?」より引用

該当行為とは

カスタマーハラスメントでは、顧客等が求める内容に妥当性があるかどうかによって、手段・態様が社会通念上不相当かどうかの判断が異なるとされています。

例えば、脅迫、誹謗中傷などの精神的な攻撃について、企業が提供する商品・サービスに瑕疵や過失があるかどうかに関わらず、社会通念上不相当な言動とされる可能性が高いものとなっています。たとえ、企業側に過失があったとしても、脅迫、誹謗中傷は許容されるものではない、という考え方です。

もし、企業側に提供した商品の過失があった場合には、商品交換や金銭補償の要求の内容によって社会通念上不相当な言動とされるかどうかを判断するということになります。商品交換の要求が、過失のあった商品と関係のないものまでに及ぶ場合や、本来補償すべき金額の考え得る範囲を超える金銭補償の要求などが考えられます。

これらの判断基準は、企業・業界によって一定ではありませんが、考え方としては①顧客等の要求内容に妥当性はあるか②要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるか、というこの2点を考慮するものである場合が多いとされています。

カスタマーハラスメントへの対応

事前準備としてできること

カスタマーハラスメント対策の基本的なこととして以下の対策・対応を取ることができると考えられています。

  1. 事業主の基本方針・姿勢の明確化
  2. 従業員への周知・啓発
  3. 相談体制の整備
  4. 対応方法、手順の策定
  5. 社内の対応ルールの従業員等への教育・研修

上記のうち1~3はパワーハラスメント対策と同様の取り組みとなりますが、異なる点は4、5の部分です。カスハラでは、従業員がカスハラを受けた際に、慌てずに適切な対応が取れるよう、対処方法を決め、それらを周知し教育することが求められます。

発生時の対応

いざ顧客等からのカスタマーハラスメントが起こってしまったら、以下のような手順により対応していきます。パワーハラスメント対策においても必要とされている対応が求められます。

  1. 事実関係の正確な確認と事案への対応
  2. 従業員への配慮
  3. 再発防止のための取り組み
  4. その他の講ずべき措置

まとめ

企業が取り組みを進めているパワーハラスメント対策とは異なり、カスタマーハラスメントは外部からの攻撃です。そのため、顧客等外部からのカスタマーハラスメントの発生を完全になくすことは、容易ではありません。だからこそ、カスタマーハラスメントが起きてしまったときに、適切な対応を取れるように準備しておくことがとても大切なのがカスタマーハラスメントです。大切な従業員を悪質なクレームなどのカスタマーハラスメントから守るためにも、社内のカスタマーハラスメント対策を進めてみてはいかがでしょうか。

 

ホイップ社労士事務所ではハラスメント対策に欠かせない職場のコミュニケーションに関するお悩みのご支援にも力を入れています。主な事業内容はこちら

 

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【参考資料】厚生労働省 カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル